中学3年の不登校を経て、定時制の高校に入学することになった息子。
行けないと思っていた高校に進学してくれただけで、私たちは十分でした。
この頃には、あれほど空手漬けだった我が家も空手とは全く縁の無い生活となっていました。家の中では空手の話題を出すこともタブーになっていましたので、もう一生空手にかかわることはないと思っていましたね。
息子が順調に高校に通えるようになると、不登校で疲れ切っていた自分の心にも少しずつ余裕が出来てきて、また空手の事を考えるようになってきました。
自分の頭の中で『これまで長い間、共に苦しい稽古を乗り越えてきた仲間たちとの関係がこのままなくなってしまうのかな・・・』と考え始めたのです。
息子が学校に行けなくなってから、道場の師範に何度も相談に伺っていたのですが、その話の中で『親父が弱気になったらダメなんだよ。子供は親の背中を見ている。空手でもやって元気いいところを見せてやれよ。そうしたら親父も頑張っているから俺も頑張ろう、てなるんだ。いつでも道場に来い。』と言われていたことを思い出します。
もし、自分が空手をやれば、道場との縁を繋げておくことができるんじゃないのか?
でも、息子は空手の事をどう思っているのだろうか・・・
高校も順調に通っている息子に、空手の話題を出したらどんな気持ちになるのだろうか・・・
いや、でももしかしたら、どこかで空手の事を思っているのかもしれないし。
自分の頭の中で、さまざまな思いが駆け巡ります。
初めのころは、いくら考えても『いや、やっぱり無理だよな・・・』との結論しか出ませんでした。
しかし1カ月、2カ月・・・と毎日のように考えているうちに、『今できることをしないと後悔するのではないか。やらないで後悔するより、やって後悔したほうがよい。』という気持ちがどんどん大きくなっていきました。
やがて、この気持ちは完全に固まります。
やるしかない、と。
まずは、嫁に相談することにしました。
今まで悩んでいたこと、自分が空手をやることをどう思うか。長男に聞いてみて、良い返事がもらえたら本気で空手をやりたい、と。
嫁はすぐに賛成してくれました。ありがたかったです・・・
そして、次は長男への相談。
なかなか踏み出すことができません。
どんな反応をするのかが怖くて、言い出せないのです。
長男と会話するたびに『今、言おう』と思っても、話を切り出せないことがしばらく続きました。
そして、その時は来ました。
長男と二人きりのときに、話の流れで空手の話題が出たのです。
しばらく空手の話をした後に切り出しました。
『ちょっと、相談があるんだけど・・・。実は俺、道場で空手をやろうかな、と考えているんだ。今までずっと悩んでいたんだけど、本気でやりたいと思っている。昔からいつかやりたいとは思っていたんだよね。道具はすべて揃っているし、いずれ大会にも出たいと思っているし。俺が空手やる事どう思う?』と、自分の思いを伝えました。
あぁ・・・、とうとう言っちゃった・・・
すると長男は『あ~。いいんじゃない!俺はいいと思うよ。分からないことがあれば俺が教えてあげれるしね。賛成だよ』と言ってくれたのです。
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
高校受験の発表並みに緊張しました(笑)
言って良かった・・・
この瞬間から自分の空手道は始まったのです ( ̄∀ ̄)ニヤリ
JK Fan (ジェイケイ・ファン) 空手道マガジン 2020年 04月号 [雑誌]
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