【不登校】復学の日

不登校
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終業式を来週に控えたある日、妹が嫁に話を切り出したのです。


『来週学校に行くよ。もう全然普通に行けるから。友達(幼馴染み)と約束してるから。』


最近の妹の積極的な行動もあって、嫁もなんとなく心構えができていたからか


『おぉ・・・。そうなんだ。』


という、軽い感じで返事をしたそうです。


嫁から話を聞いた自分も『おぉ、そうか。ホントに行けるかなぁ(笑)』くらいの受け止め方だったと思います。


自分もそろそろ行くことができてもおかしくないと思っていたし、実際に行けるかどうかも分かりませんからね。


それからは事あるごとに『行くよ!行くんだからね!』となぜか猛アピールを繰り返します。


それはまるで妹が自分自身に言い聞かせているようでした。


自分が逃げることができないようにしていたのでしょうか・・・


そして終業式を2日後に控えた日曜日に妹は『明日から学校に行くから!!』と終業式ではなく、月曜日の通常授業に行くことを嫁に伝えてきました。


自分は終業式に行くのだろうと思っていたので『え?授業を受けに行くのか』とちょっとびっくりしました。


妹の本心は分かりませんが、一度も行くことができなかった2年生・・・せめて1日だけでも今のクラスにいたことの証が欲しかったのかもしれません。


そんな妹の心情を想うと胸が熱くなってしまいました。


自分はなんとなく『行ければいいな。』という軽い気持ちでいたのですが、『今回だけは何としても行ってほしい・・・頑張って行ってほしい。』という願いに変わりました。


『神様、お願いします・・・』


そんな気持ちでした。


日曜の夜、自分はドキドキ感からあまり寝ることができなかったことを覚えています。


不登校の初期に『明日こそ学校に行けるのかな・・・』という不安から寝れないことが良くありましたが、久々に味わう感覚です。


そして夜が明け月曜日の朝を迎えました。


まともに寝れなかったこともあり早起きしてしまいましたが、ドキドキ感がなくなりません。


『妹は起きてくるのかな?』『やっぱり行けないってなるかも・・・』


頭の中は不安で一杯でした。


そんな不安な気持ちを抱きながら朝支度をしていると、嫁に続いて妹も起きてきました。


嬉しい気持ちと安堵の気持ちを隠しながら妹に『おはよう!!』というと妹は『ドキドキする・・・』と緊張感を隠さずに伝えてきました。


『そりゃそうだよ。無理したらダメだよ』とだけ妹に伝えました。


見送りしたい気持ちでしたが、あとは嫁に任せて自分は会社へと向かいます。


車の運転中も会社に到着してからも気が気ではありません。


あとは運を天に任せるのみ。


嫁からの連絡を待ちます・・・


・・・・・・・・・


嫁から連絡が入りました。


『友達が迎えに来て、ちゃんと学校に向かったよ!!』  


。゚ヽ(゚´Д`)ノ゚。 ヤッター


嫁も仕事のため妹を見送り、家を後にします。


『でも、教室に入れるのかな?かなりハードル高いよな・・・』


無事に家を出ても、別の心配をしてしまいます。


自分も嫁も仕事で、学校に行ってからどうなったのかは知ることができませんでした。


嫁が帰宅して妹から話を聞かないと結果は分からないのです。


夕方、嫁からまた連絡が入ります。


『ちゃんと教室に入って、一日授業を受けてこれたよ!頑張ったよ♪♪♪』


この連絡を待っていました。


1年と2カ月、この日を夢見ていたのですから。


不登校期間中、たまに頭の中でこんなことを考えるときがありました。


『もしも妹が学校に戻れる日が来たら、自分はどんな気持ちになるのだろうか・・・嬉しいのは当然だけど、泣いてしまうのかな。それとも大喜びするのかな。』


答えは泣くわけでも大喜びするわけでもなく、ただ幸せな気持ちに包まれました。


これまでやってきたことは間違いではなかったんだな・・・


良かった。


それだけでした。


その日は仕事もそこそこに早めに帰宅しました。


一秒でも早く妹の顔を見たかったのです。


自分が帰宅すると嫁が笑顔で出迎えてくれました。


『一日頑張ってきたんだよ。頑張ったね!!』


妹の姿が見えなかったので聞くと


『疲れて寝てるよ。ゆっくり寝かせてあげて。』


なんだ・・・話を聞きたかったのに。


そして夕飯の時間に妹は起きてきました。


妹に『今日、良く頑張ってきたね!!』と話しかけると


妹は『うん。頑張ってきたよ。なんともなかったよ』と。


それだけで充分です。


それ以上、自分からは何も聞きませんでした。


その後夕食を食べた妹は、かなり疲れていたのか直ぐに寝床へ向かいました。


自分と嫁が二人になり


『良く頑張ってきたよな・・・ホント良かったよね。』


二人だけで静かに乾杯したのでした。




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