学校に行けなくなってから3カ月弱。
学校のプリントにあった【スクールカウンセリング】の案内を見て嫁が『どんなものか、話だけ聞いてくるよ』と、担任の先生を通して相談の予約をしました。
これまでいろんなところで相談を重ねてきましたが、いちばん身近な存在だったのになぜか行こうという気にならなかったのは、学校のカウンセリングというものを軽く考えていたのだと思います。
子供の話を聞いて励ましてくれるようなイメージ・・・保健室の先生のようなイメージというのでしょうか。
学校のカウンセリングなどでは到底解決できない状況だと思い、病院や専門の方にすがっていた訳です。
なので、自分も嫁も『少しでも良い話が聞けたら良いな』くらいの軽い感じでしたね。
スクールカウンセリングに長男は同行せず、嫁だけが行きました。
自分は、仕事が終わってから『今日のカウンセリングどうだった?』と聞いたところ、嫁は『ホントおじいちゃんくらいの方なんだけど、言ってることが的確ですごく良かった・・・なんか信頼できる感じ。何よりも、私の心が癒された。今度パパも一緒に行こう!』と、今までとは違う手応えを感じてきたようでした。
相談時間は1時間程で、今の状況や気持ち・思いをじっくり聞いてくれ、それに対して子供が今どのような状況で、どんな考えでいるのかを説明してくれるようです。
そして、親はどう行動すればよいのか、どんな言葉をかけてやれば良いのか?を的確にアドバイスしてくれるのです。
不登校になると、親から子供への話し方・言葉のかけ方は異常なほどに神経質になります・・・我が家はそうなりました。
『この事を言ったら機嫌を悪くしないだろうか?』
『こんなことを言ってもいいのだろうか?』
『また気持ちが下がってしまわないだろうか・・・』
今までは全く気にしていなかった言葉の一つ一つに重みを感じる様になります。
長男も以前よりはだいぶ気持ちも上がってきていたので、この良い状態を壊したくなかったですから。
でも、我が家は受験が迫っていたので【学校】に関することは御法度なのは分かっていたのですが、言わざるを得ない状況でしたから、この先生との出会いは本当に大きかったです。
初めて行った時のカウンセリングのメモ(嫁のメモ)にはこう書いてあります。
『前は確かに落ち込んでいたのかもしれない。でも今は気持ちが上がってきている。焦らず”やれること””やりたいと思うこと”をやらせてあげてください。ポロッ、ポロッと何かサインを口にしてきますので、それを拾って手伝ってください』
受験が迫ってくる時期、どのように行動していけばよいのかが全く分からずに不安ばかりが大きくなっていた自分達にとって、信頼できる道先案内人となってくれました。
この頃は長男もだいぶ気持ちが安定していたので、このまま良い状態が続いていてほしいな、と思っていました。
そして受けれるかどうかは分かりませんでしたが、高校の願書下書きも何とか記入できたので『なんとか間に合ってくれたらいいな・・・』と淡い期待を持ち始めた頃にちょっとした出来事があったのです。
願書に使用する証明写真を学校専属の写真屋さんに撮りに行った時の事。
そこの写真屋さんで撮影を担当してくれたのが、保育園の頃からの友達のお父さんでした。
当然、そのお父さんは自分の子供から、うちの長男の状況を聞いています。
友達のお父さんと分かった時、うちの嫁は『何事もなく、終わってくれればいいな・・・』と思ったそうですが、長男に対して『高校受験もあるから頑張って学校に行ったほうがいいよ。頑張れ。』等の励ましの言葉をくれたそうです。
友達のお父さんは、長男に気を使って言葉を掛けてくれたのだと思いますが、これまで何カ月も我が家では口にしていない絶対に言ってはならない言葉なのです・・・
嫁もこの言葉を聞いて、凍り付いたと思います。
案の定、家に帰ってきてから長男のイラつきが爆発しました。
『俺高校に行く気なんてないし、希望を出した科になんか行きたくない。どうせ受かんないでしょ。学校だって行けるならもう行けてるし!!』と嫁に言ったそうです。
それから、また部屋に籠る時間が多くなったのです・・・
この出来事は、これまでの努力が一瞬にしてゼロに戻ってしまったような気がして、自分も嫁も本当に辛くて悔しかったです。
ちょっとした言葉で、全てがリセットされてしまう恐ろしさを思い知らされましたね。
そして、もう一つやってはいけないことを自分がしていたのです。
それは、高校の希望の科を選ぶときに本人の意思を尊重せずに、自分が主導で決めてしまったこと。
これには訳があって、本来であれば空手の推薦で行く予定にしていた高校で、最後の大会には出場することができなかった為に、既に推薦枠が埋まっているという話が聞こえてきました。。
それに対し何とかできないものかと、1カ月程前に自分は道場の師範に相談していたのです。
すると師範が『大体の事は伝えておいたから。近々大会があるからそこで直接話してこい』と段取りをつけてくれました。
自分はその先生と直にお話しするために大会に出向き『実は現在長男はこんな状況です。本来であればこちらの高校を受験するつもりでしたが、今現在はどう転ぶのかが自分で分かりません。こちらの学校の前期は受ける準備だけは整えておきます。一応ご報告ということで伺わせて頂きました。』と伝えました。
すると先生は『師範から大体の事は伺っております。最後の大会で見えなかったからどうしたのかな?とは思っていました。なかなか大変ですね。正直申し上げると、既に推薦の枠は埋まっていまして・・・。それでも、もし受験できるようであればぜひ受けさせてください。私もできる限りの努力はします。』と、仰ってくださいました。
言葉だけだとしても、本当に有難かったです。
何か、髪の毛一本分の希望を持たせてくれました。
そこで、長男と受験する科について話したときに、先生にできるだけ迷惑を掛けないように一番倍率の低そうな科を進めました。自分の一存で・・・
いろんなことに気を配って長男と接してきた自分でしたが、肝心なところで長男の意思を尊重してやらなかったのです。
写真撮影から帰ってきた長男が『本当は、そんな科に行きたくないし!!』と言ってた、と嫁から聞きましたが、もうどうすることもできませんでした。
また、このまま部屋に籠ってしまうのかな・・・
本当に振り出しに戻ったらどうしよう・・・という不安に襲われます。
でも長男は2~3日は機嫌が悪かったものの、また元気な振る舞いを見せてくれました。
安心しました・・・
そして、この頃もうひとつ新しく始めたことがあります。
動物と関わることで何か変化が起きればと思い、家族会議でインコを買うことにしました。
動物を飼うことで
・癒し効果
・生活にリズムがつく
・自信や責任感
を期待できるそうなんです。
でも・・・インコは当てはまるのかな?
もう、何にでもすがりますね(笑)
そして、高校の正式な願書も記入し提出できました。
長男は、更に友達と連絡を取るようになってきて気持ちも上向きのまま年末、そして年明けとなります。
・・・
・・・が、年末近くに長男がある決意を嫁に伝えていたのです。
自分がそれを知ったのは、年が明けた1月5日の事でした。
・・・続く
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