いよいよ3回戦が始まります。
相手を目の前にしたとき、こんな考えが頭をよぎりました。
『中段蹴りを決めて先取が取れれば気持ち的に余裕ができる』
これまでの試合で何度もポイントを稼いだことがある得意技です。
2点の得点は非常に大きく、先取を取ることが出来れば精神的かなり優位に立つことが出来ます。
主審の『勝負始め!』の声のあと間合いを図りながら近づき中段蹴りを放ちましたが、相手に反応され同時に逆突きを受けました。
相打ちになり、審判の旗は上がりません。
追撃の手を緩めず相手を追うとまた逆突きが飛んできましたが、体が上手く反応してダッキングでかわします。
仕切り直しをして中段突きで下の攻撃を見せてから刻み突きを出すと決まりました!!
嬉しい先取で1-0です。
この点数を取れたことで気持ちが落ち着き冷静になります。
再び向かい合い間合いを取りながらもう一度刻み突きを打ちましたが、届かずにカウンターの上段突きをもらい相手にポイントが入り1-1となります。
『もう少しコートを広く使おう』
いつもは相手に集中するだけで精一杯なのですが、精神的に余裕があったのか攻撃以外の事を考えることができました。
サイドステップでコートを回るように移動し、間合いを図りながら逆上を打ちます。
相手も同じ技をカウンターを出しますが相手の攻撃が当たりC1が与えられました。
その攻撃で自分のメンホーがずれたのでコート外に出てメンホーを直しながら一息入れます。
『ここで相手の周りをまわるステップを使ってみよう』という発想が浮かんできました。
これは自分の息子が試合の時に使っていたステップで、前後にステップしながら相手の周りを回ることで相手にペースを握らせないのです。
いつか使うチャンスがあるかもしれない思い、ずっと練習してきました。
ステップしながら相手の周りを回ると思っていた通り、自分の動きについてくるように相手が回り始めます。
タイミングを計ってフェイントを何度か入れた後の刻み突きが決まりました。
これで2-1です。
1ポイントのリードですが、気持ち的にはもう2ポイントは欲しいところ。
相手も早く追いつきたい為かお互いに手数が多くなります。
お互いに技を出し合いますが決め手がなく、時間が過ぎます。
お互いの攻撃が途切れた一瞬、相手が動き始めたのでダッキングをすると顔に中段蹴りが飛んできてモロに食らってしまいました。
メンホーの顎の部分を蹴られたので、一瞬頭が真っ白になりそのあと顎に痛みを感じました。
これまでに食らったことがないほど強い当たりで、審判が止めた後コートの外に出て息を入れます。
審判がドクターを呼んだため状態の確認をされます。
『頭痛は?めまいは? 試合できますか?』
かなりの衝撃で顎の痛みがありましたが、体は大丈夫そうなので試合続行です。
その後も相手の攻撃は続きます。相手の攻撃の合間を見て攻撃しますがお互いに決め手を出せません。
そして相手が上段を打ってきましたが、自分には届かずに自分の上段がカウンターで決まり3-1。
相手は更に前に出てきてコーナーに追い詰められますが、タイミングを見てワンツーを出すと決まり4-1となりました。
ここで残り時間は7秒。
先取を取っているので、一本を取られても大丈夫。
前に出て相手の攻撃をつぶすと時間になり試合終了!!
まさかの3回戦突破でベスト16です(´▽`*)
今大会の目標は『1勝』でしたが、絶対に手が届くはずのない『ベスト8』が目の前にやってきたのです。
そしてベスト8を掛け、次の試合に向かいます。
~続く~
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